職人技による火入れと丁寧な下処理がもたらす抜群の食感!
シンプルな味付けで肉本来の旨味を強く感じられる♪
弾力がありながら噛むたびに肉の繊維がほぐれる逸品♪
19時を過ぎた晩御飯の頃合いだが、店を選び損ねてしまった。
東池袋という場所を考えれば、サンシャインシティに行けば店には困らない。
しかし、どうにもくたびれた身体が賑わう場所を嫌ってしまい足が向かない。
それにこういう気だるい時に歩いて見つけた店には良い出会いがあるはずだ。
実際いくつかよさげな店もあった。
けれども飲み屋の空気感が漂っていたため下戸の自分はどうしても敬遠してしまう。
困りながら適当に彷徨していたそんな時に、白い灯りに照らされたなのれんが見えた。
「多津よし 牛たんの店」―—。
控えめな文字が浮かぶ味わいあるのれんに一気に引き込まれる。
いいじゃないか。
門構えが一昔前の日本住宅ならではの温もりある雰囲気をしている。
ここしかない。
店先にメニューはないが即決した。
何を食べるかではなく、どこで食べるかが重要な時がある。
今がまさにその瞬間だ。
この店の雰囲気を味わいたいと思い立ち、躊躇うことなく戸を開ける。
お店の雰囲気
外観・内観ともにこぎれいで粋な装いをしている。
質素でとても居心地がいい空間だ。
整理されたテーブルは仕切りも低く、厨房を広く見渡せる。
肉を焼いている時のご主人はとても集中していて、客が入ってきても気が付かない。
客席に背を向けて一心不乱に肉の加減を注視している様は、まさに職人の仕事そのものだ。
その後ろ姿を見て、味に期待をしないではいられない。
メニュー
はじめにメニューを見た時には正直言って腰が引けた。
なかなかいい値段だ。
これはもう勝負の一食となるに違いない。
このご時世安くてうまいものが多い中で、この値段設定と向き合うとなると気を引き締めねばなるまい。
店に入った以上、引くことはありえない。
そもそも「牛たん」の店である以上、それなりの値段になることはわかっていたことだ。
それを承知で店構えから漂う名店の匂いを信じて入ったのだから。
失敗は許されないが、自信はある。
店主の職人としての姿に、この勝負の下駄を預けると決めた。
水
冷えすぎていない飲みやすい塩梅。
スッとのどを通る冷たさ。
料理紹介・レビュー
牛たん焼き 麦めし定食
- 絶妙な焼き加減によって引き出される肉の旨味♪
- ふっくらやわらかな麦飯が牛たんと相性抜群!
- 卓上の辛味噌が刺激と共に、味に奥行きをもたらす♪
- 2,000円
唯一無二の看板メニュー。
食べた瞬間に勝利を確信した。
旨い。あまりにも旨い。
本物の牛たんがこの値段でいただけるならば、決して高くはない。
肉の質、火入れ、下処理。
全てが合わさってこそ生み出されるおいしさ――ということが素人でもわかる。
肉の弾力がありながらも、丁寧な刺しがあることで噛むたびに肉がほぐれる。
味付けはシンプルな塩胡椒が感じられる程度で、何よりも肉の旨味が濃い。
肉汁ではなく、噛むたびに肉の凝縮されたエキスが口の中にじわりと広がる。
タレに頼らず、肉本来の旨味を存分に味わえる貴重な瞬間だ。
調子に乗って勢い任せで食べ進めてしまいそうになるが、店主の方に薦められていた「辛味噌」を思い出す。
これがまたいい仕事をする。
唐辛子のピリッとした辛さが味に程よい変化をもたらし、また新鮮な感覚で繊細な肉の旨味と向き合わせてくれる。
麦めしの味わいがまた素晴らしい。
柔らかな炊きあがりとほのかな風味が肉の食感・味にあった相性抜群の一品。
量がそれほど多くないが、一噛み一噛みを大事にすることでその味わいをより深く感じられる。
ゆっくり味わったつもりだが、あっという間に食べ終わってしまった。
あくせくせず、一回の食事をゆったりと向き合うことが何やら贅沢に感じられる。
とても心地よい時間を過ごすことができた。
ごちそうさまでした。
ご主人が気さくな方で、時折会話に付き合って下さって嬉しかった。
とてもいい仕事をされるが、大変な労力なのでお体に気を付けて末永く続けてほしい。
営業時間・アクセス
店名 | 牛たんの店 多津よし |
住所 | 〒170-0013 東京都豊島区東池袋5丁目9−6 |
営業時間 | 17:00~20:00 |
定休日 | 日曜日 |
☆予約を中心に営業されているので、満席の場合は入れないこともありますのでご注意ください。
地図
周辺情報
グルメ
魚真
リーズナブルな価格で上質な魚料理がいただける寿司屋。
ランチ時は定食が提供され、満席になることが多いので早めに行くのがおすすめ。